初恋が君に届くまで
「うーんと、そうだな。やっぱりフロアスタンドライトはこれがおすすめかな。あとはディスプレイを兼ねたラックも、同じテイストで」

メジャーで部屋のあちこちを測りながら、つむぎはフィラートのカタログを丈に見せる。

「カーテンも、夏物と冬物で換えると雰囲気違うものが楽しめるし、遮光とか保温の役割もあっていいよ」
「なるほど。全部つむぎに任せていいか? あと俺の寝室も」
「え? あ、うっ……」
「なに?」

頬を赤らめてうつむくつむぎは、どうやら『俺の寝室』に反応したらしい。

「寸法測りに行く?」
「そそ、そうですね。では少々お邪魔して」

サラッと受け流そうとしているが、動きがどうもギクシャクしている。

丈はクスッと笑みをもらしてつむぎを寝室に案内した。

「どうぞ。ベッドのシーツやカバーは何枚あってもいいから、それも選んでくれる? あとは、窓際にちょっとしたカウンターを置きたいんだ。パソコン作業したり、お酒を飲んだりできるように」
「シー……ツと、カウンター、ですね。かしこまりました」

ロボットのようにガチガチになりながら、つむぎは機械的にサイズを確かめてメモする。

「はい、結構です。退散いたします」

そそくさと寝室を出てリビングに戻り、カタログを広げてなにやら考え始めた。

「ひと通り選んでみたよ。どうかな?」

そう言ってタブレットを丈に手渡す。

そこにはつむぎが選んだ商品が並んで表示されていた。

「へえ、いいな。カウンターのサイズも大きすぎないし、チェアとセットでシックな感じがいい。これと同じテイストで、テレビ台はある?」
「うん、あるよ。待ってね……。ほら」
「おお! 揃えたらいい感じだな。これも買うよ」
「ホント? こんなにたくさん、いいの?」
「もちろん。つむぎのセンスで選んでもらえて嬉しいよ。いつ届く?」
「今注文すれば、明日の午後には届くよ」

ええ!?と、丈は驚いた。

「これ全部、明日に? ホントか?」
「うん、それがフィラートの強みなの。自社倉庫からすぐに発送するから、あとになって実は欠品でした、なんてこともないし。大型商品の組み立ても梱包材の持ち帰りも、なんなら買い換える不用品も回収するよ。全部無料サービスで」
「すごっ! 俺、フィラートの新システムを設計する時にひと通りサイト見たけど、絶対追加料金取るんだとばかり思ってた」
「えー? ちょっと、システムに嘘書いてない?」
「大丈夫だって。システムは社内向けだし、通販サイトはつむぎが管理してるだろ?」
「そうだけど……。もっと大きく書いておこう。全部無料サービスでーす! って」

そんなことを話しながら、注文を済ませる。

「届くのが楽しみだな。つむぎ、配置を考えてくれる?」
「もちろん。それも無料サービスですよー」
「ははっ、ありがたい。さてと、昼飯どうする?」

時計を見るといつの間に時間が過ぎたのか、そろそろ12時になろうとしていた。

「せっかくだから外に食べに行くか。帰りに食材も買って」
「そうだね。夕食はここで作ろうよ」
「オッケー。じゃあ行くか」
「うん!」

つむぎがすっかり気を許したように笑ってくれるのが嬉しくて、丈はまた幸せを噛み締めていた。
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