初恋が君に届くまで
車で大きなショッピングモールに行き、カフェでランチを食べてから、そのままモールの中のスーパーで夕飯の買い出しをすることにした。

「うーん、なにがいいかな。綾瀬くん、リクエストは?」
「そうだな。なんでもいいけど、つむぎと二人で一緒に作りたい」
「じゃあ夏野菜のスープカレーは? スパイスを混ぜて作るの」
「おっ、いいな。それに決まり」

ジャガイモのほかに、ズッキーニやパプリカ、ナスやトマトやカボチャも買う。

スパイスは、なんだかよくわからなくてつむぎに任せた。

真剣な表情でスパイスを選ぶつむぎを見ていると、幸せを絵に描いたような気がして心が温まる。

(何気ないひと時が、つむぎといるだけでこの上なく特別な時間に感じる)

恋愛によってこんなにも大きく影響されるとは、と丈は自分の心の変化に驚いていた。

自宅に戻ると早速二人でキッチンに並び、カレーの下ごしらえをする。

まな板の上でトントンと野菜を刻むつむぎの横顔は美しく、丈はまた恋に落ちた。

「綾瀬くん、味見して?」

小皿にスープカレーを少しよそって差し出すつむぎが、可愛くて愛おしい。

味見しなくとも美味しいに決まっていると思ったが、実際に口にするとあまりの美味しさに目を見開いた。

「うまっ、なんだこれ?」
「ふふっ、よかった。お口に合ったみたいで」
「なんでこんなにうまいんだ?」
「大げさだなあ、綾瀬くんは。なにも特別美味しい訳ではないよ。私と綾瀬くんの味の好みが似てるんだと思う。それがなによりよね」
「そうか。つむぎの愛のスパイスってことだな」
「はいー? 全然違いますけど?」
「はははっ!」

幸せだ。
自分は今、最高に幸せだ。

出来上がったスープカレーを二人で一緒に食べ、「美味しいね」とつむぎが笑う。

幸せすぎてどうにかなりそうだ。

(絶対につむぎを離さない。この先もずっと、つむぎと一緒にいる)

丈はそう固く心に誓った。
< 63 / 91 >

この作品をシェア

pagetop