初恋が君に届くまで
「体育祭の写真。これは何回も見返したな」
「ホントだ。応援団長の綾瀬くん、かっこいいね」
「つむぎも。学ラン着て真剣な表情なのが凛々しい」
後ろから抱きすくめられ、丈の身体をすぐそばに感じて、つむぎの心臓はドキドキと高鳴る。
クラス写真のページになると、丈は「ほら、ここ」と指を差した。
3年2組の一番下の欄に、【渡辺 つむぎ】とある。
黒髪を肩の上で切り揃え、真顔で写っているつむぎの写真が載っていた。
「え、やだ。恥ずかしい」
「どうして? 可愛いのに」
「どこが? 見て、ほかの女の子達。髪もくるくる巻いて明るい色にカラーリングしてるし、メイクでお目目ぱっちりだし。私だけ浮いてるよ」
「そこが可愛い。擦れてなくて俺だけのつむぎって気がする」
つむぎは思わず眉間にしわを寄せて丈を振り返った。
「綾瀬くんって……、変態?」
「バカ! なに言ってんだ」
「だって変だよ、美的センスが。私だったら、絶対この中で渡辺つむぎは選ばない。どう見てもほかの子の方が……」
つむぎ、と丈が怒ったような声で遮る。
「俺、言わなかったか? 俺の好きな人を悪く言うなんて許せないって。たとえ本人でも」
真剣な表情で見つめられ、つむぎは気圧された。
「ごめんなさい。でも、どうしても信じられなくて。なぜ私なの?」
丈はアルバムを傍らに置くと、両腕を回してそっとつむぎを後ろから抱きしめた。
「つむぎは……夜空の1等星なんだ」
「え?」
「自分ではその輝きに気づけない。だけどどんなに離れていても、いや、離れているからこそ、俺はキラキラしたつむぎに目を奪われた。つむぎには周りの女の子が月のように目立って見えているのかもしれない。だけど俺は、どんなに月が満ちた夜でも、小さく瞬く1等星がきれいだと感じる。それっておかしいか?」
「……ううん」
「だろ? じゃあもう2度と自分を卑下するな。あと、俺を変態呼ばわりもするなよ?」
ふふっと思わずつむぎは笑みをもらした。
「ごめんなさい。綾瀬くんは誰よりもかっこよくて頼りになる、優しくて温かい人です」
「惚れたか?」
「うん」
今度は丈が、え……と言葉を失くす。
「綾瀬くん、こんな私を好きだと言ってくれてありがとう。綾瀬くんの言葉を、信じてもいいですか?」
「……もちろん。嘘偽りなく、俺はつむぎが好きだ」
「ありがとう。私もあなたが、大好き」
小さく呟いた声はちゃんと届いただろうか?
心配になってそっと視線を上げると、真っ直ぐ射貫くような丈の視線に捉えられ、つむぎは息を呑んだ。
「つむぎ。今、なんて?」
「あの……」
「俺のことが、好き?」
「はい、大好きです」
次の瞬間、つむぎは大きな丈の胸にギュッと抱きしめられていた。
「つむぎ……。やっと、やっと」
「綾瀬くん……」
二人で言葉もなく、ただ互いを抱きしめ合う。
込み上げる想いが伝わり、胸が打ち震えた。
「つむぎ、好きだ」
耳元でささやかれ、つむぎは涙をこらえて頷く。
やがてゆっくり身体を起こした丈は、つむぎの耳の後ろに手を置いてそっと指先で頬をなでた。
「つむぎ、これからはずっと俺のそばにいてほしい」
「はい」
丈はようやく嬉しそうな笑みを浮かべ、優しくつむぎを抱き寄せる。
そして心に秘めた何年分もの想いを伝えるように、つむぎに初めてのキスを贈った。
「ホントだ。応援団長の綾瀬くん、かっこいいね」
「つむぎも。学ラン着て真剣な表情なのが凛々しい」
後ろから抱きすくめられ、丈の身体をすぐそばに感じて、つむぎの心臓はドキドキと高鳴る。
クラス写真のページになると、丈は「ほら、ここ」と指を差した。
3年2組の一番下の欄に、【渡辺 つむぎ】とある。
黒髪を肩の上で切り揃え、真顔で写っているつむぎの写真が載っていた。
「え、やだ。恥ずかしい」
「どうして? 可愛いのに」
「どこが? 見て、ほかの女の子達。髪もくるくる巻いて明るい色にカラーリングしてるし、メイクでお目目ぱっちりだし。私だけ浮いてるよ」
「そこが可愛い。擦れてなくて俺だけのつむぎって気がする」
つむぎは思わず眉間にしわを寄せて丈を振り返った。
「綾瀬くんって……、変態?」
「バカ! なに言ってんだ」
「だって変だよ、美的センスが。私だったら、絶対この中で渡辺つむぎは選ばない。どう見てもほかの子の方が……」
つむぎ、と丈が怒ったような声で遮る。
「俺、言わなかったか? 俺の好きな人を悪く言うなんて許せないって。たとえ本人でも」
真剣な表情で見つめられ、つむぎは気圧された。
「ごめんなさい。でも、どうしても信じられなくて。なぜ私なの?」
丈はアルバムを傍らに置くと、両腕を回してそっとつむぎを後ろから抱きしめた。
「つむぎは……夜空の1等星なんだ」
「え?」
「自分ではその輝きに気づけない。だけどどんなに離れていても、いや、離れているからこそ、俺はキラキラしたつむぎに目を奪われた。つむぎには周りの女の子が月のように目立って見えているのかもしれない。だけど俺は、どんなに月が満ちた夜でも、小さく瞬く1等星がきれいだと感じる。それっておかしいか?」
「……ううん」
「だろ? じゃあもう2度と自分を卑下するな。あと、俺を変態呼ばわりもするなよ?」
ふふっと思わずつむぎは笑みをもらした。
「ごめんなさい。綾瀬くんは誰よりもかっこよくて頼りになる、優しくて温かい人です」
「惚れたか?」
「うん」
今度は丈が、え……と言葉を失くす。
「綾瀬くん、こんな私を好きだと言ってくれてありがとう。綾瀬くんの言葉を、信じてもいいですか?」
「……もちろん。嘘偽りなく、俺はつむぎが好きだ」
「ありがとう。私もあなたが、大好き」
小さく呟いた声はちゃんと届いただろうか?
心配になってそっと視線を上げると、真っ直ぐ射貫くような丈の視線に捉えられ、つむぎは息を呑んだ。
「つむぎ。今、なんて?」
「あの……」
「俺のことが、好き?」
「はい、大好きです」
次の瞬間、つむぎは大きな丈の胸にギュッと抱きしめられていた。
「つむぎ……。やっと、やっと」
「綾瀬くん……」
二人で言葉もなく、ただ互いを抱きしめ合う。
込み上げる想いが伝わり、胸が打ち震えた。
「つむぎ、好きだ」
耳元でささやかれ、つむぎは涙をこらえて頷く。
やがてゆっくり身体を起こした丈は、つむぎの耳の後ろに手を置いてそっと指先で頬をなでた。
「つむぎ、これからはずっと俺のそばにいてほしい」
「はい」
丈はようやく嬉しそうな笑みを浮かべ、優しくつむぎを抱き寄せる。
そして心に秘めた何年分もの想いを伝えるように、つむぎに初めてのキスを贈った。