返事も溺愛もキスのあとで


ラーメンを食べた後、俺たちは手を繋いで家に帰り、交互に風呂に入った。

俺がベッドに寝転んでいると、愛らしい雛柄のパジャマを着た雛子が寝室に入ってくる。

彼女は当たり前のように、俺の隣に寝転ぶと、こちらを見て目を細めた。

「さきに寝てても良かったのに」

「雛子と一緒に寝たい」

「……うん」

雛子が、ふいに前髪をいじると唇を結ぶ。これは雛子が照れた時にする仕草だ。おそらく彼女は無意識だろう。

こうしてベッドに雛子と並んで寝るのも、もうすぐ一か月になるのに、今だに彼女は俺と目が合っただけで顔を赤くする。

(寝る前の雛子も愛らしいな)

「あの……なに?」

「知りたいか? また顔を赤くすると思うが」

「……っ、じゃあ、今度にする」

「はは。わかった」

──ここ数週間、俺は《《雛子の初恋相手》》を聞いてから、隙さえあれば彼女への甘やかしという名のスキンシップを試みている。

洗い物をしてくれている雛子を後ろから抱きしめたり、夜な夜な企画をしている彼女の肩揉みをしたり、お弁当のお礼だと言って額にキスをしたり。  

(こんな気持ちになるのは初めてだ)

とにかく彼女に触れたくてたまらない。彼女を想う気持ちが溢れて、どうしようもないのだ。

(しかし、俺も我慢強いよな……)

俺はまだ彼女に手を出すどころか、唇にキスもしたことはない。

(本当は今晩にでも、俺のものにしたいところだが……)

(まだ、今じゃない)

(彼女の気持ちが固まるまでは……耐えるんだ!)
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