返事も溺愛もキスのあとで
髪の毛の先をくるくるといじりながら姫原さんがベーグルに噛り付く。

「はは、マジか。その悲壮な顔、僕も見たかったぁ」

守が鼻で笑うと姫原さんが買ってきたと思われるパン屋の袋の中から、カレーパンを頬張る。

「前から思ってたけど、なんで二年も付き合ったの? 同棲までして」

「“便利屋さん”だからに決まってんじゃん」

(え? 便利屋、さん?)

(それって私のこと?)

もしそうだとしても、私は守がなぜそんな風に言うのか理解できない。

「なに? その“便利屋さん”って」

「聞きたい?」

「聞きた~い」

彼女がわくわくとした表情で守を上目遣いで見つめる。守がこほんと咳払いをした。

「雛子はさー、家事も料理も面倒なこと全部やってくれるし、家賃も払ってくれるし、仕事の面倒な案件も困ったぁってため息ついたら、土日に僕が寝てる間に勝手にやってくれるんだ。ようは僕の嫌なことや面倒なことぜーんぶやってくれる便利屋さん」

「きゃはは、想像通りの“便利屋さん”ウケる~。それなのに二年も彼女ポジだと思いこんでて可哀そう~」
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