返事も溺愛もキスのあとで


車は彼の予告通り、十五分後に目的地に到着した。

私たちはちょうどお昼どきだったこともあり、鷹哉さんの提案で風鈴祭りの会場である、あやかし神社へ行く前に蕎麦屋さんで腹ごしらえをすることになった。

お蕎麦屋さんは、シゴデキな彼が到着時刻に合わせて事前に予約してくれていたため、すぐに店内に入ることができた。

地元の季節のお野菜を使った天ぷらそばが有名で、量が少し多そうに感じたが、あっさりしていて食べやすく、またお蕎麦も自家製とのことで私は一人前ペロリと平らげてしまった。

よく食べる鷹哉さんは体重を気にしつつも大盛りを完食していて、なんだか可愛らしく微笑ましく思ったのは内緒だ。

そうしてお腹が満たされた私たちは、蕎麦屋をあとにすると、風鈴祭りがおこなわれている神社を目指して、手を繋ぎながら緩い坂道を登っている。


「食後のいい運動だね」

「そうだな、この緩い坂はなかなか腹筋にきそうだ。運動不足だからちょうどいいな」

「鷹哉さんは学生の頃、なにかスポーツしてたの?」

私が学生の時は、家計を助けるためにアルバイトばかりしていたという話はしたことがあるのだが、鷹哉さんの学生時代についてはほとんど知らない。

「サッカーをしてた」

「もしかして、フォワード?」

彼の切長の目が大きくなる。

「よくわかったな。前にも言ったことがあるが、太っていたから何かスポーツをと思って中学から始めたんだ。それが功を奏したのか痩せた上に、意外と俺に向いていたみたいでな」

「すごい。私、運動はからっきしだから」

「……雛子が言うほどすごいこともないが、また秋になったら散歩がてら公園にピクニックでも行こう」

「行きたい。じゃあ私、お弁当作る」

「ああ、秋も今から楽しみだな」


彼の言葉に心があたたかくなる。今の季節はまもなく初夏。これから秋も冬も二人で沢山思い出を作りたい。

「お、店が出ているな」

「ほんとだ」

 
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