返事も溺愛もキスのあとで
神社までの坂道を中腹まで登ると、左右には昔懐かしの瓦屋根の家が並んでおり、三軒に一つはお土産物屋さんや休憩ができるカフェになっている。

「見て。あれ、おいしそう」

「ん? 抹茶ソフトか?」

私の視線をたどった彼が、すぐにそちらへ足を向ける。

「え、鷹哉さん?」

「ひとつ買って食べながら行こう」

「うん」

店の前に行くと、恰幅の良いおじさんが「いらっしゃい」と明るい声をかけてくる。

店先の、のぼり旗には“京都宇治から仕入れた茶葉使用”と書かれていた。

(抹茶かぁ……)

(抹茶のチョコを使ったポテトチップス……とか?)

「雛子」

のぼり旗の文言に気を取られていた私が顔をあげると、すでに彼は抹茶ソフトを手に持っている。

「あっ、私、払う」

すぐに鷹哉さんが首を振ると、切れ長の目を細めた。

「それより、また仕事のこと考えていただろう。抹茶味のポテトチップスか?」

「え……っ、なんでわかったの?」

「雛子のことなら大体わかるよ。はい、溶ける前にどうぞ」

「ありがとう」

大きな手で差し出された抹茶アイスは濃い緑色をしており、抹茶の濃度が濃いのか、受け取る前から爽やかなお茶の匂いが漂っている。

味を想像しながら、一口食べると私は目を見開いた。

「おいしいー!!」

「はは、良かった。雛子は意外と食いしん坊だよな」

確かにお蕎麦をたらふく食べてからまだ三十分も経っていない。

「……う……、だから万年ダイエットなのかな」

「ん? 聞いてないぞ。ダイエットしてたのか?」

私はソフトクリーム片手にこくんと頷く。

鷹哉さんと同棲し始めてから、晩酌をすることも増えて、すこし体重が増えてしまったのだ。
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