返事も溺愛もキスのあとで


「着いたな」

「うん、すごい人ー」

俺が雛子に悪戯と過度なスキンシップをしているうちに目的地である、あやかし神社にたどりついた。
このあやかし神社は狐の神様が祀られており、縁結びや願い事が叶う神社として知られている。

休日ということで家族連れやカップルで境内はにぎわっていた。

「久しぶりに来たが、変わってないな」

「え、鷹哉さん、あやかし神社に来た事あるんですか?」

「ああ、幼い頃にこの風鈴祭りの時期に一度だけな」

俺は雛子が引っ越した翌年に母親にねだって、この風鈴祭りに来たことがあった。

俺の前から突然姿を消した雛子にもう一度会いたくて、願掛け風鈴に願い事をしたのだ。

(まさか雛子とこうしてここにくることができるなんてな)

(お礼参りをしないと)

俺は手を清めてから、雛子と先に拝殿を参拝する。

勿論願い事はたった一つだけだ。

“ずっと雛子と一緒にいられますように”と願ったあと、隣をみれば、雛子が一生懸命願い事をしていて、神様の前だと言うのに見惚れてしまう。

「よしっ」

「すごい気合だな」

「だって……その、どうしても願いを叶えてほしいから」

「どんな願いなのか気になるな」

「な、内緒」

彼女の願いがなんなのか非常に気にはなるが、愛らしい俺の雛子のことだ。

きっと可愛らしい願い事に違いない。

「きっと叶うよ」

彼女が俺を見上げて、わずかに小首をかしげる。

「え? ほんと?」

「俺の勘は当たるんだ」
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