返事も溺愛もキスのあとで
「ありがとう! すごく綺麗」
「そうか、良かった。じゃあ次は願掛けに行こうか?」
境内の端にはテントの下に長机が置いてあり、奉納料を払えば、短冊を書いて風鈴を吊るすことができる特設スペースがある。
「あ、その前に……」
「なんだ?」
「あのね、一緒に写真撮ったらダメ?」
(な……っ?!!!!)
俺はあまりに喜ばしい雛子の提案に、一瞬フリーズしてから、頷く。
「ああ、……俺も撮りたい」
元々、記録に残る写真がなんとなく好きではなく、今まで交際した女性から一緒に撮ろうと言われても撮る気になれず断っていた。
(落ちつけ、心臓っ)
(ニヤけるな、口元……っ)
俺は口元を不自然に覆うと、彼女から視線をそらした。
今から雛子と一緒に写真を撮ると思うと、気持ちが舞い上がってしまう。
(スマホのロック画面にしよう)
(いや、待てよ。気持ち悪く思われるだろうか?)
(くそ……っ、わからない!)
雛子の人差し指がちょんと俺の肩に触れる。
「鷹哉さん、もしかして写真苦手?」
「え?」
「その、なんだか嫌かもって……」
俺はすぐに雛子をまっすぐに見つめる。
嫌なんてとんでもない。すれ違いはごめんだ。
「慣れなくて戸惑ってるだけだ。雛子と……俺も撮りたい」
「えっと……良かった」
顔がとても熱いが、雛子もそんな俺の赤面が移ったのか、頬をほんのり染めている。
「じゃあこれ──」
スマホを持った彼女の白い手のひらがこちらに差し出される。