返事も溺愛もキスのあとで


名残惜しみながら、あやかし神社をあとにし、坂道の途中のカフェで休憩して外に出れば夕暮れが迫っていた。

カフェの店員さんの「ありがとうございました」を背に、私たちはゆっくりと坂道を下っていく。

(いつ、鷹哉さんに話そう)

さっきカフェでもずっと考えていたのだが、恋愛経験が少ない私は告白のタイミングなんてわからない。でも今日、絶対伝えたい。

(家についてから……も違うし、お店はやっぱり恥ずかしいし)

(でもこのまま車に着いたら、ご飯食べて家……)

そこで私はハッとする。

(車がいいかも。うん、そうしよう)

私は急に高鳴ってきた胸を押さえるように大きく呼吸を吐き出した。彼がすぐに私を覗き込む。

「雛子、疲れたのか?」

「え、ううん。全然平気だよ」

「そうか、もしよかったらなんだが……ここから歩いて十五分ほどのところに公園があるんだ」

彼が坂道を下りながら駅とは反対方向を指さす。

「あのあたりなんだが、俺にとって思い出深い公園なんだ。寄ってもいいか?」

「勿論」

私はすぐに頷く。知らない彼をもっと知りたい。たとえどんなに小さなことでも。

「鷹哉さんの小さい頃ってどんな子だったの?」

「どうした、急に」

「まだまだ鷹哉さんのことで知らないこと多いから。少しずつ知りたいなって」

「そうだな、公園についたら話すよ。ずっと雛子に言えなかったことも全部」

(ずっと、私に言えなかったこと……?)

なんだろう。その彼の微笑みはいつもと一緒なのに、どこか懐かしい気がした。
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