返事も溺愛もキスのあとで


歩道に並ぶふたつの影を見ながら、手を繋ぎ、私たちは会話もほどほどに景色を楽しみながら歩いていく。
坂道を下りきって大通りを一つ路地に入れば昭和のレトロ感が漂う商店街が見えた。

「あれ、ここ……」

「知ってるのか?」

「うん、私も……昔このあたりに住んでたの」

「そうなのか、奇遇だな。俺もなんだ」

「え……っ?!」

思いがけない彼の言葉に私は目を大きくした。

「だから、さっきあやかし神社にも行ったことがあったの?」

「ああ、そうだよ。まさか雛子がこのあたりに住んでたなんて驚きだな」

「うん、すごい偶然」

「ああ、本当に偶然、いや奇跡だな」

彼は商店街を慣れた足取りで潜り抜けると右手に曲がる。

そこには見覚えのある三角形の形をした公園があった。

「あ……、この公園」

「ん? 雛子もここに?」

「う、ん」

見間違えるはずがない。ここは私が幼い頃、よく“たーくん”と遊んだ公園だ。

(あれ、じゃあ公園で遊んでた時、もしかして鷹哉さんにも会ったことあるのかな……)

「先にベンチに座っててくれ。俺は飲み物をかってくる。お茶でいいか?」

「うん、ありがとう」

彼が公園の入り口の自動販売機で飲み物を購入するのを見ながら私は、ブランコを通り過ぎ、ジャングルジムの後方にあるベンチに腰かけた。ちょうど日が傾いてきてベンチは日陰になっている。

私は目の前のジャングルジムをじっと、見つめた。

(懐かしい……たーくんが助けてくれたんだよね)
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