返事も溺愛もキスのあとで


(な、なんだよ……)

雪瀬室長は僕を会議室に連れ込むと、すぐに僕を見下ろす。

「雪瀬室長、朝から何の、ご用ですか?」

「今は職位はつけなくていい。ひとりの男として話がしたい」

「え? えっとそれは敬語じゃなくていいってことですか?」

「ああ。そうだ。その代わり俺も遠慮はしない」

「了解っす」

「……」

言われるがままに、タメ語を使ったが室長は黙って僕を冷たい目で見下ろしている。
 
全く訳がわからない。

だが、引越しの件といい散々コケにされたんだ。敬語を使わなくていいなら、この際、言いたいことを言ってやるまでだ。

「じゃあ、早速。雪瀬はこの僕に何の用?」

そう言葉にして、なんだか笑ってしまう。

(なんかいいな。雪瀬呼び)

目の前の彼は眉ひとつ動かないまま、静かに口を開く。


「これでも精一杯堪えてるんだ。俺がなぜお前を呼び出したか本当にわからないのか?」

僕は鼻を鳴らした。

「わかんないなぁ、雪瀬、説明してくれよ」

「そうか」

室長は僕に向かって距離を詰める。

(ん?)
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