返事も溺愛もキスのあとで
あんな素晴らしいポエムなのに、こんな死にそうな気持ちにならなきゃいけないなんて、全くもって納得できない。


「ママに連絡……いや、心配かけちゃダメだ」

僕は大好きなママへのLINEを浮かべたが、すぐに閉じる。

(雛子はきっと喜んでいたはずなのに……)

(だってこの、石垣守様からの愛のポエムを嬉しく思わない女なんているもんか!)

僕はふと、顎に拳を当てると脳内で想像する。


(ええっと例えばだけど……ようやく意を決して返信しようとした雛子は、その現場を雪瀬室長にたまたま見られた、とか?)

(それか室長、独占欲強そうだもんな。雛子のスマホ盗み見てんのか?! 鬼畜だな)

(あ! もしかしたら雛子は僕というヒーローに助けてもらえるのを待っている?)

「あー、どれも可能性が高すぎてわかんないや。もう雛子に聞こう」


そう結論に辿り着き、彼女にすぐにメッセージを送ろうとして止める。

(電話の方が早いな)

(いまなら始業前だし、この僕からの電話なら速攻で出るさ)

そして意気揚々と電話をかけた僕は呆然とした。

「え……着信拒否?」

電話口からは「その電話番号にはお繋ぎできません……」という文言が繰り返される。


(う、嘘だろ……)

(もしかして、雛子は僕のこと……もう過去になってるのか?)

以前、テレビか何かで見たことがある。

しつこく復縁を求めてくる元彼には何もリアクションせず、ブロックと着信拒否が一番有効だと。

「そんな、雪瀬室長と本気で付き合ってる……のかよ」

僕はあまりの衝撃で頭をガシガシと掻きむしった。


(まさか考えたくないけど、振られた、のか?)

(ここここ、この僕が?!)


「オーマイガーーーッ!!!」

始業開始一分前──、僕の悲痛な叫びが会議室に響き渡った。

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