返事も溺愛もキスのあとで
雛子は小さい頃から自分の意思をしっかりもっていて、意見はちゃんと言えるところが良いところなのだが、他人に対して甘いのだ。

おそらく本人は無意識だろうが、どんなに不遇で理不尽な目にあっても、相手をとことんやり返すと言った思考は持ち合わせていない。

勿論、俺も考えに異論はないが、雛子に関しては別だ。

「俺が守るからな」

誰にも傷つけてさせない。させてたまるか。  

そう改めて決心した俺は、雛子の愛らしい寝顔にキスをひとつ落とす。

「ゆっくり、眠ってくれ」

「……鷹……哉さん……」

「好きだよ」

(雛子は寝顔もとびきり可愛いな)

そんなことを脳裏に浮かべて、瞼を閉じようとすれば、スマホが震えた。

(こんな時間に誰だ?)


──『鷹哉、今度会えるか?』

俺にメッセージを送ってきたのは、ロスにいる祖父からだった。

「……雛子に話さないといけないな」

いつか話そうと思いながら、まだ話せていない大事なことがある。彼女に余計な気を遣わせたくなくて──。

とはいえ、いつまでも黙っていられる案件でもない。

(企画の結果が出てからにするか)

そう結論づけた俺はメールに返信をすると、彼女を胸に抱いて目を閉じた。
 
< 152 / 190 >

この作品をシェア

pagetop