返事も溺愛もキスのあとで
(改めて……別れて本当に良かった)

(こんなことされたら……恥ずかしすぎて立ち直れない……)

よく見れば、皆同じ気持ちなのかもしれない。微妙な顔をしたまま、手拍子を無理やりしている同僚がほとんどだ。

「──おはようございます」

(あ、姫原さん……!)

相変わらず派手なワンピースにヒールの高いパンプス、ブランドものの黒い鞄を持った姫原さんがオフィスに入ってくる。

すぐに守が席を立つと、姫原さんの前に歩み出た。

「な、なに……?」

「僕の愛しの由羅~♪」

そう言うと、ギターをジャジャンと鳴らす。

「は?」

「石垣守、二十六歳、姫原由羅さんと結婚しまっす!!!!」

守の勢いに押されて、皆が拍手をする。

「な……なに言ってんの?!」

「いいからいいから。恥ずかしがらないでよ。僕のマイスイートハニー」

「……誰が、マイスイートハニーよっ!」

「聞いてください。書き下ろし新曲、愛する由羅に捧ぐ愛の歌『ラブエンドレス・フォエバー由羅』」

どう見ても嫌がっているようにしか見えないが、守は気にせずギターをかき鳴らす。
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