返事も溺愛もキスのあとで
今更ながら、守がこんな異常行動をするなんて。
気づかなかった自分に生まれて初めて嫌悪感まで抱いてしまう。

「僕はね、由羅を愛してるんだ」

スウェット姿の守は床に寝そべり、あたしの右足を両手でつかんだまま、真顔でそんなことを言ってくる。

「キモイんだよ!」

大声を出せば、一瞬、守がビクッと肩を震わせたが、すぐまた野良犬のようなやや怯えた目でこちらを見上げる。

「勝手に決めたのは謝るよ。でも営業してたら、ちょうどママから連絡あったから、嬉しくてつい」

あたしは守の言葉にドン引く。

「いやいや、ちょっと待って。ママって言った?! あんたキモい上にマザコンじゃない!」

「むぅ? ママ呼びだからって偏見だよ。今ドキ、令和の男はみんなママって呼んでるよ」

「そんなわけないじゃないっ! 離してマザコン!」

あたしは力任せに足をあげると、守を振り払う。守は無様にお腹を出すような形でゴロンと床に転がった。

「痛ーっ!!」

「じゃあね。バイバイ」

あたしはさっと鞄を拾い上げると、パンプスを履く。

その時だった──。

──『アッ……ンッ、ンッ……守……』

──『由羅……っ、僕、もう……』

(!!)
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