返事も溺愛もキスのあとで
「あんたの由羅でいてほしかったら、その動画消して」

「え、嫌だよぉ」

「じゃあ別れる」

「わ、わわ、わかった。消すよ」

あたしはパンプスを履いたまましゃがむと、守の手からスマホを取り上げる。

「これ、データはこれだけ?」

「う、うん……」

あたしは動画を削除するとひとまず安堵しつつ、守を睨みつけた。

「ほかには本当にないでしょうね?」

「な、ないよ」

明らかに目を泳がせ嘘を吐いている守に、殺意が芽生えそうだ。あたしは舌打ちする。

「どこ?」

「え?! 知らないよ」

「嘘つくような男と結婚できると思う?」

「……そ、それは……」

静かに睨み落とせば、守がおずおずとあたしを見上げた。

「実は……由羅の写真集作ってて」

「な……、写真集?!」

「もうすぐ届くんだ。結婚式の引き出物にしようと思って。あと、招待状ももう作ってて」

「勝手になにやってんのよ!!」

「愛してるんだ!!」

守の勢いに思わず口籠る。

「この愛を守り抜くためなら、僕は何だってできる。何者にだってなれるんだ」

「……っ」

愛というよりもはるかに得体のしれない執着に恐怖を覚えるとともに、怒りも相まって全身が小刻みに震えてくる。

あたしは引きつった頬をそのままに、ぐっと拳を握る。

(キモイ……殺したいくらいキモイ)
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