返事も溺愛もキスのあとで


「軽い熱中症なので命に別状ありません。点滴をしているので、終われば帰宅しても大丈夫です」

「ありがとうございました」

医師が先に部屋をあとにする。

(良かった)

あのあとすぐに来てくれた救急隊員に言われるがまま、私は救急車に同乗して病院にやってきたのだ。

見ず知らずとはいえ、ぐったりした男性を見た時は、不安でしょうがなかったが、こうして医師達の迅速な処置のお陰で、男性は本日中に帰れるとのことでほっとする。

「お付きそい頂きありがとうございました、もうすぐお身内の方が来られますので、もう帰宅されて大丈夫ですよ」

「そうですか。良かったです」

男性の点滴の調整を終えた看護師に微笑み返すと、彼女もまた部屋を出ていく。

点滴中の男性は眠っているが、先ほどの青白い顔よりも随分顔色がいい。

私も静かに病室をあとにした。

そして鷹哉さんに連絡をしようとスマホを取り出したと同時に着信が入る。
着信相手はもちろん彼だ。

「あ……っ、かかってきちゃった」

病院に着いて男性が処置が開始されてから、鷹哉さんにLINEで少し遅れると連絡をしてそのままになっている。

慌てて、私は一階にある院内の通話可能エリアに足早に向かっていく。

そしてエレベーターで一階に下り扉が開くと、目の前に立っていたのは慌てた様子の鷹哉さんだった。

「え……っ、鷹哉さん?」

「雛子? どうしてここに?」

「た、鷹哉さんこそ」

「話しはあとでしよう。一緒に来て欲しい」

彼は私の手を取り、エレベーターに乗り込むとすぐに五階のボタンを押した。
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