返事も溺愛もキスのあとで


私は夕食後の晩酌にビール缶を片手にまじまじと向かいに座っている彼を見つめた。

「……鷹哉さんが……お、御曹司だったなんて……」

「本当に黙ってて悪かった」

彼は大きな体をやや丸めて小さくしながら、ダイニングで向かい合っている私を伺うような眼差しを向ける。

「ううん、怒ってるわけじゃなくて、本当にびっくりして……」

「ああ。苗字も違うしな。このことは上役でも知っているのはほんの数人なんだ」

病室でお祖父様改め、会長から鷹哉さんが孫であり、三日月製菓コーポレーションの跡取りだと聞いたときは青天の霹靂だった。

「ただ病室でも言ったが、社長である父とは関係がうまくいってないんだ。だから俺が次期社長だと思ってるのはお祖父様だけだがな……」

鷹哉さんのご両親は離婚されていて、お母さんが病死したのを機にお祖父様が後継人になられたそうだ。

「でもお祖父様、本当に大したことなくて良かったよね。でも、本当に社長……に言わなくて良かったのかな」

「まぁ、お祖父様からすれば自分の息子だからな。連絡くらいすればいいとは思うがな」
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