返事も溺愛もキスのあとで
「大丈夫だ。おそらくSNSとこのFAXや張り紙は同一人物だろう。誰がやったかすぐわかる」

「え?」

「俺に任せてくれ」

彼に頷けば、すぐに足早にオフィスから出ていく。

(始業までに片付けなきゃ)

私が他の同僚たちの手を借りて、紙をゴミ袋へ入れていると、扉が開く音がして舌足らずな声が聞こえくる。


「えー、なんですかぁ、これ」

振り返れば、由羅が巻いた髪の先をいじりながら片眉をあげている。

「うわぁ、これは、ひどいなぁ」

「ねぇ。雛子先輩って、清純そうな顔して、裏でこんなことしてたんですかぁ」

「だな。尻軽女なんて、室長も見る目ないなぁ」

由羅が辺りを見渡しながら小首を傾げていて、守は同調しながら、それぞれがデスクに座る。

同僚が一緒に散らばっている紙を拾うよう言うが二人は知らん顔だ。

(怪しい……)

そもそも二人は入ってきた時、口では驚いたようなことを言っていたが、他の同僚たちの反応と明らかに違う。

壁に貼られていた紙を全て剥がし終わり、由羅の足元の紙を拾えば、彼女が私に耳打ちする。

「──いい気味」

(!)

ばっと顔を上げれば、不適な笑みを浮かべた由羅と目が合った。

「最近はAIがあれば何でもできちゃうんですよ」

「こんなことして……」

言いかけた言葉を遮るように由羅がクスッと笑う。

「あたし、上の人に顔がきくんですよ。防犯カメラには何も映ってないですからね。つまり、証拠ないから」

「……っ!」

嫌悪感を露わにして睨みつけるが、彼女は余裕の笑みだ。
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