返事も溺愛もキスのあとで
「何よ、その目」

「本当に醜いですね」

「は?! あたしが? 自分の顔みて言いなさいよっ」

「私が言ってるのは心のことです。人を陥れ、自分を正当化し、平気で嘘をつく」

「なによそれ……っ、そんな汚いもの見るような目で由羅を見ないでよっ」

「私はあなたを許さない、軽蔑します」

「カッコつけてんじゃないわよっ」

姫原さんが眉間に青筋を浮かべると、思い切り手を振り上げるが見えた。

(──っ)

咄嗟に目を瞑れば、痛みの代わりに姫原さんの小さな唸り声が聞こえた。

「大丈夫か?」

顔をあげれば、目の前には鷹哉さんが立っている。

「……雪瀬、室長」

「暴行未遂だな」

彼は乱暴に姫原さんから手を離すと、静かな声色で彼女に告げる。

「今回の件だが、お前が石垣とやったんだな」

「な、なに言ってるのよ。証拠は? 名誉毀損で訴えるわよっ」

姫原さんの言葉に守が駆け寄ってくると、鷹哉さんを指さす。

「そそ、そうだぞ! 証拠もないのにいい加減な言うと訴えちゃうからな」

「その言葉そっくりそのまま返そう」

彼がふっと笑うと同時に、扉が開く。

「──ふむ。あいつか」
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