返事も溺愛もキスのあとで
「うわ~ん、守を怒らないでくださぁい。好きになっちゃった由羅が悪いんですぅ」

「姫原さんは黙ってて」

わざとらしく身体を震わせると由羅は守の背中に隠れて舌を出す。

(ムカつく……っ)

「おい、可愛い由羅に僻んだからって当たるなよな! 大体便利屋のくせに生意気なんだよっ」

「便利屋って呼ばないでよ」

「本当のことじゃん?食欲と性欲満たすだけの道具」

(!!)

──パシッ

乾いた音が鳴って守の頬が赤くなる。まさか私から殴られるとは思っても見なかったのだろう。怒りからワナワナと唇を震わせた守が手のひらを高くあげるのが見えた。

「こんの便利屋女が、舐めんなよっ」

(あ……殴られる)

咄嗟にぎゅっと目を瞑り身を屈める──が、予想した痛みはいくら待ってもやってこない。

「──いい加減にしろ」

その声に視線をあげると雪瀬室長が守の手を掴み上げていた。

「雪瀬室長」

「大丈夫か?」

「はい……」

「とんでもないクズだな」

「は? クズって……え?」

雪瀬室長は雑に守の手首を振り払うと、私を庇うようにして守たちに一歩距離を詰める。
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