返事も溺愛もキスのあとで
見慣れぬ黒のスウェット姿の雪瀬室長が入ってくると、ベッドサイドに腰かける。

(し、室長、スーツじゃない……?!)

(髪もノーセット?!)

(何この、プライベート感?!)

(それも、いま雛子って言わなかった?)

脳裏にはあれこれ浮かぶのに、声にはならない。

「ん? どうかしたのか?」

「いや、あの、えぇっとこれは……その、昨晩のことは……全部現実だったってことでしょうか?」

「ああ、俺と雛子は昨晩から恋人同士であり、今日から結婚前提で同棲開始だ」

「──っ」

昨晩、恋人、結婚前提、同棲……と物凄いパワーワードを連発されて、朝から脳みそはキャパオーバーだ。

「さぁ、雛子。一緒にブランチでも行こうか」

愛おしいそうに私を雛子と呼び、にっこりと微笑む彼を見て、私は口をぽかんと開けた。

そしてなんとかこの事態を飲み込もうと、おもちゃの人形のように辿々しくうなづいた。

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