返事も溺愛もキスのあとで
「ここがバスタオル売り場だな」

「わー、沢山ありますね」

バスタオルはサイズもカラーもデザインも豊富で、見ているだけで楽しい。

「大きさはいつもどのサイズを使ってるんだ?」

「普通のサイズです。今朝……室長にお風呂をお借りした時使わせてもらったのと同じです」

「そうか、じゃあサイズは決まりだな」

私は室長と遅めの朝食を食べた後、出かける前にお風呂をお借りしたのだ。

(これまた今更だけど……ほんと、急に室長とこんな関係になるなんて……)

室長は全く気にした素振りはないが、そもそも異性の家のお風呂を借りて、泊まる行為は、その関係性は友達以上なことが多いのが一般的ではないだろうか。

更にはこうして二人で手を繋いでバスタオルを選んでいるなんて、はたから見れば恋人同士以外の何者でもない。

今はやっぱり、いきなり変わった関係にむず痒さが優るが、少しずつ慣れていきたい。

──彼を知っていきたい。


「雛子どれがいい?」

「えっと……あれ? これ動物ですか?」

目の前の中央の陳列棚に視線を走らせると、イチオシと書かれたプレートと共に、動物をモチーフにしたバスタオルが目に止まった。淡いパステルカラーで5種類展開されている

すぐに彼がその中から、淡い黄色のバスタオルを広げると、形の良い唇を持ち上げた。

「これいいな」

「ですね」

そのバスタオルの端っこには、可愛らしい雛のワンポイントがついていて、こちらに向かって小首を傾げてポーズをとっている。

「可愛いです」

「雛子には負けるがな」

「へ?」

「ん? どうかしたか?」

「い、いいえ。その……雪瀬室長って、お上手ですよね」

「何がだ?」

キョトンとしてこちらを不思議そうに見ている彼の言葉が、どうやら無意識のものだと気づく。

そして私が口を開く前に、彼がふっと笑った。
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