返事も溺愛もキスのあとで
守はテレビを消すと私へ当てつけるように、ゲームのリモコンを床に叩きつけた。

そして短髪をガシガシ掻くと、スマホを持って立ち上がる。

「どこ行くの?」

「雛子がダルすぎるから、ソコイチのカレー食って友達んとこ泊るわ」

「え、友達って、誰? 着替えどうするの?」

「着替えは友達ん家置いてる。てか、いちいち詮索すんなよな」

「そんな言い方しなくてもいいじゃない……っ」

「あー、マジでうっさい。耳キンキンしてくるわ。じゃあ」

「ちょっと守、まだ話終わって……」

言い終わる前に玄関の扉は、ばたんと乱暴に閉まる。

静かになった部屋にため息がひとつ零れた。

(なんでこうなっちゃうんだろう)


「同棲失敗だったかな」

私にとって、守は初めての恋人だ。

飲み会の席でたまたま隣同士になり、地元がすぐ近くだったことから意気投合した。数回のデートを重ね、守から告白されたときは涙が出るほどうれしかった。

私は身長が165センチと高めで顔立ちも平凡。愛想がある方ではなく、どちらかといえば恋より仕事人間。

そんな私を社交的で、さわやかな顔立ちの守が好きだといってくれるなんて、これは一生に一度の恋、そう思った。
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