返事も溺愛もキスのあとで
あまり自己肯定感が高くない私に『僕は雛子がいいんだ』と、言ってくれて本当に嬉しかった。
好きな人に愛され必要とされていることが、私生活でも仕事でも自信にも繋がった。

だからこそ交際二年を機に、守から将来を見据えて同棲しようと言われたときはすごく嬉しかったのに、同棲してからは今まで気付かなかった嫌なところばかり目につくようになり、喧嘩も増えた。

今日のように守が出ていくのも初めてじゃない。こんな調子じゃ守との将来はとてもじゃないが不安で仕方ない。

「私が普通を押し付けてるのかな……。うちは離婚してるから何が普通かわかんないけど……」

私の両親は七歳の時に父の浮気が原因で離婚した。女手ひとつで育ててくれた母に、すこしでも迷惑をかけたくなくて、奨学金を組んで有名な私立大を卒業し、今の会社に入社した。

やっと親孝行できると思った矢先、母は病気であっけなくこの世を去った。

ひとりぼっちになった私は強く思った。

もしも願いがひとつだけ叶うなら、私だけの家族が欲しい。

お父さんがいてお母さんがいて協力して家事をして子育てをしてながら、ありふれた平凡な家族を築きたい。


でも私の“普通”だと思う結婚観は守にとっては押し付けであり、窮屈に思わせてしまったんだろうか。

「はぁ……今日も結局ひとりぼっちの夕ご飯、か」

私は取り出していた冷凍ご飯を冷凍庫に仕舞う。

カップラーメンにお湯を注ぐと、空腹を満たしシャワーを浴びて眠った。


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