返事も溺愛もキスのあとで


──パシャン……。

「はぁ……気持ち」

私は今、雪瀬室長の自宅の広いお風呂で湯船に浸かりながら、今日を振り返っていた。

あのあと、奇跡的に見つけた雛柄と鷹柄のお茶碗とマグカップをゲットした私たちは、私専用の枕と、淡い黄色のタオルケットを購入後、カフェのテラスでコーヒーを飲み、明日から一週間分の食材を買って、一旦荷物を置きに帰った。

そして、夜は彼のおすすめだという高級イタリアンでコース料理を頂き、ワインを二人で一本空けてから自宅に戻り、交互にお風呂に入っているところだ。

「夢みたいだな……」

二年も付き合った守に、あんなに惨めに裏切らたばかりなのに、もう涙は出そうにない。

「雪瀬室長のおかげだよね」

雪瀬室長が私を好きだと言って、手を差し伸べてくれなかったら、こんなに呑気にお風呂に入れてない。ご飯だってきっと喉を通らず、帰る家だって……。私はそこまで考えてハッとする。

「あ……、そうだ家……」

あのアパートの契約者は私になっている。荷物もそのままだし、なにより家賃は私のお給料から天引きだ。

このままだと守のために、無駄に家賃を払うことになってしまう。

私はこれから室長の部屋に住まわせてもらうのだから、食費も家賃もせめて半分は支払いたいと思っていた。

そのためにも家賃の二重払いは早々に解決しておきたい。


「大変……、お風呂上がったら契約について調べて、引越し業者も手配しないと……」

私は湯船から上がると、ルームウェアを着て、急いでスマホを置いているリビングに向かった。
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