返事も溺愛もキスのあとで
私は無理やり、オフィスと反対方向にある会議室に連れていかれる。会議室に無理やり押されて入れられると、守が会議室の扉横のプレートを『使用中』にするのが見えた。

そして、守はすぐに私の前に仁王立ちする。

「やってくれたよな」

「なんのこと? そこどいてよ」

引越しのことだと予想しつつ、私はしらばっくれる。もう守と話すことは何もない。

「はぁ? どういうつもりだよ! 引っ越しとか聞いてねぇよ!」

「守の許可なんかいらないよね。アパートの契約者は私だし、家賃だって払ってたの私じゃない」

「そんなの当たり前だろ、この僕と一緒に住めるんだからな!」

「当たり前って……何言ってるの?」

私を指さしながら距離を詰めてくる守から、できるだけ離れるように一歩、また一歩と後ろに下がっていく。

「マジでムカつくんだよっ。冷蔵庫やレンジとか家具全部処分しやがって! Wi-Fiないからゲームもできねーだろ! 僕に捨てられたからって嫌がらせすんな!」

「そんなの知らないわよっ、頭おかしいんじゃない?! 私の物どう処分しようと勝手でしょ」

引っ越しを機に、いま雪瀬室長の家にあるものは使わせてもらうことにしたので、アパートに置いていた冷蔵庫やレンジ、洗濯機など二つも要らないものは全て下取りして買い取ってもらう段取りをしていた。
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