返事も溺愛もキスのあとで
あまりにも自己中心的で身勝手な言動に思わず私がため息を吐き出す前に、なぜか守が先に盛大にため息を吐く。

「はぁあああ、何その顔。大体さ〜どんだけ構ってちゃんなんだよ。僕への当てつけに引っ越し業者呼んだんだろ。で? 実際は行くとこなくて一人さみしく漫喫泊まってんだよな。バレバレだっつーの!」

「満喫なんか泊まってないわよ! 私は今……──」

「はいはい。もういいって。これからも僕が一緒に住んであげるんだから」

守が私の言葉を遮ると、やれやれといった感じで両手を広げて見せる。

「可哀そうだもんな。だって雛子には僕しかいないのに、僕に捨てられてどこにも行く当てのないなんてさ~。今回はこの優し〜い僕が今折れてあげるよ」

(僕、僕、僕って……こんな人だったなんて)

(ほんと気持ち悪い……!)

(……ありえない……っ)

こんな奴と二年も付き合って、一瞬でも結婚を考えていた自分が恥ずかしい。

私はぐっと拳を握ってから顔を上に向けた。

「私、雪瀬室長と付き合ってるの。今彼と住んでる。だから二度と私に構わないで」

「ははは。僕が引っかかるかよ、そんなデタラメ」

守は薄ら笑いを浮かべると、私の手首をギリっと掴んだ。

「ここで約束して。今日帰ってくるって」

「痛……、嫌よ! 手離して」

「しょうがないなぁ。仲直りのチューでもしてやろうか?」

近づいてきた顔と言葉に身の毛がよだつ。


その時だった。会議室の扉が開く音がする──。
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