返事も溺愛もキスのあとで
教師だった母とは折り合いが悪く、いつも出来のいい二つ上の姉と比べられて育った。

姉は雛子先輩によく似ていて、真面目な性格で何事にも真っ直ぐで、人当たりも良く、勉強熱心な人間だった。
そんな姉は母の期待通りのいい大学に入った。

──努力家でいつも一生懸命な姉には、これからいい人生が待っている。

母はいつもそう言って、あたしにも周囲にも姉を自慢していた。

そんな矢先のこと。姉は大雨の日、脇見運転のトラックに跳ねられて死んだ。

その知らせを聞いた時、あたしは一人で腹をかかえて笑った。

そして、同時にほんの少しだけ期待した。

──やっと姉がいなくなった。

これで少しは母も出来の悪いあたしでも、元気で生きていてくれたら、それでいいって思うんじゃないかって──。

そんな淡い、小さな期待を胸に葬式に参列すれば、食事も摂らず疲弊した母は、泣き腫らした目であたしにこう言った。

──『どうしてアンタが生きてるの?』

あたしは母の荒んだ目を思い出して、奥歯をギッと噛み締める。
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