返事も溺愛もキスのあとで
雛子と雪瀬室長が交際してるのは、今朝の様子でよくわかった。

正直、僕と別れてすぐに他の男と付き合う雛子の尻軽さには軽蔑したが、いまならまだ僕の元に取り戻せるはずだ。

だって彼女は僕と結婚したがるほどに僕に入れ込んでいたのだから。
それにあの室長が、雛子とこのまま結婚するとは到底思えない。

「全然似合ってないしね。室長もちょっと味見したいだけでしょ」

その時、なんとなくつけていたテレビの画面に僕は目を留める。

──『復縁に効果的?な方法についての恋愛特集』

「お、いいじゃん」

僕は匿名で顔を隠しているAさん(27)の体験談をカップラーメンの汁を飲み干しながら耳を傾ける。

「へぇ、ポエムね~」

Aさんは、長年交際していた女性と遠距離がきっかけで一度は別れたが、愛を謳ったポエムを送り続けたことにより、彼女と復縁できたそうだ。

「恋愛経験のない、雛子ならイチコロかもな~。だってこの僕からの愛のポエムだぜ」

僕は空になったカップラーメンをゴミ袋に放り込む。そして早速見よう見まねでポエムを作成し、雛子のLINEに送信する。

「これでよし、しばらくはこれで雛子の出方をみてやるとするか」

僕はテレビをリモコンで消すと、今日もスマホでゲームアプリ『ゾンビアンドサバイバル』にログインする。ログインすればすでに待機していた他のメンバーたちからメッセージが送られてくる。

──『マモルン~おつ!』

──『我らの勇者マモルン待ってました』

──『今日はポーション何個持ってく? マモルン指示お願いします』

僕はログインした途端、勝手に口元がにやける。

「ほんとおまいらは、僕がいなきゃなんにもできないんだからさ~」

画面に向かってそう言うと、僕は意気揚々と課金ボタンを押した。

< 82 / 136 >

この作品をシェア

pagetop