返事も溺愛もキスのあとで
──『今日のだし巻きも最高だった。煮物は味が染みていて、豚肉巻きはいい塩加減だった。いつもありがとう』

震えたスマホを確認すれば、「ごちそうさま」と箸を置いた鷹のスタンプと一緒にメッセージが送られてきている。

──『いつも美味しいって食べてくれて嬉しいです』

そう送ろうとして、ハッとする。

「えっと……」

私は語尾の“です”を消してから、彼に送信する。

これ以上、おでこへのキスという甘いお仕置きの回数が増えると、本当に心臓が止まってしまいそうだから。

ちなみに彼からのお仕置きという名のキスは、全然嫌じゃない。鷹哉さんの熱を帯びた視線と至近距離が、とてつもなく恥ずかしいだけで…。

そんなことを考えていれば、既読がついてまた返事がくる。

──『俺の雛子は本当に料理上手だ』


鷹哉さんはよく「俺の雛子」と言ってくれるのだが、私は密かにこの言葉を嬉しく思っている。

彼にもっと独占されたい、なんて思うようになったのはいつからだろうか。

(って、気を引き締めないと。今から会議なんだから)

私は彼に雛がにっこりしているスタンプを返してから、頬を軽くペチッと叩く。


(あ、トイレでリップだけ塗りなおそう)

私はエレベーターを降りると、女子トイレの化粧鏡の前にたった。

「──お疲れ様です~」

(!)

その声に振り返れば、姫原さんと目があい、彼女も化粧ポーチを片手に私の隣に立つ。

彼女がこうして私に話しかけてくるのは久しぶりだ。

オフィスでも会話を交わすこともなければ、最近はエレベーターで乗り合わせても、お互いに無言だったから。

「お疲れ様」
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