返事も溺愛もキスのあとで
「ちょっと、みんななんなのよっ! 騙されないで、あたしの企画なんだってば!」

長机を両手でバンッと叩くと姫原さんが、大声を出す。

「静かにしろ。本当に舞川さんが企画を盗んだのなら、その証拠が防犯カメラに映っているはずだ。俺が調査しようか?」

「え……っ」

鷹哉さんが姫原さんの目の前に立ち見下ろす。途端に彼女の涙はとまり、目が左右に揺れ始める。

「君が言う、企画が盗まれたと思われる日時と前後一週間の防犯カメラの記録を調査しよう。その代わりだが、もし万が一、何も映っていなかった場合、君は公の場で嘘をついた上、舞川さんを侮辱したんだ。訴えられても仕方ないが?」

「な……っ」

「どうする? ここにいる皆が証人だ。この場で調査するか決めてくれ」

「あ、あたしは……」

姫原さんはネイルの爪が手のひらに食い込むほどに握りしめると、小さな声で答える。

「……そこまでしなくて結構です」

「いいのか? 企画を盗まれたんだろう? このままでは舞川さんの企画が本会議に出るかもしれないが?」

「……実はその、盗まれたのはあたしの勘違いでしたので……」

彼女の言葉に同僚たちから非難の目が向けられる。

「へぇ。随分な勘違いだな。これが最後だ──この企画は、誰のものだ?」
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