返事も溺愛もキスのあとで
「しかしながら、姫原さんが主張されている、同じ企画を思いつく可能性について、限りなく低いですがゼロではありません。先程、企画を盗んだと、あらぬ疑いをかけられたことに対しては強い憤りを感じておりますが、皆さんが信じてくださり、姫原さんが企画を取り下げるのであれば、私は問題ありません」

そう言った途端、同僚たちから次々と声があがる。

──「室長! 私は舞川さんを信じます」

──「僕もです。こんなに酷似するなんて普通はあり得ないはずですから」

──「雪瀬室長、姫原さんをもっと調べるべきでは?」

──「そうですよ! 企画を盗むなんて、社会人として恥ずべき行動です」

皆の軽蔑の視線が姫原さんに注がれる。

「なによ、その目! まるで由羅が悪いみたいに! 不愉快よっ」

目を吊り上げている彼女を見ながら、彼が鼻で笑った。

「俺たちは、君の言動こそ不愉快だが?」

「あたしのどこが?!」

「自分でわからないとは残念だ」

彼に賛同するように、周りの同僚たちが深く頷いてみせる。

「皆、同じ意見のようだな」

「……っ」

ついに口を閉した姫原さんを見ながら、彼は温度のない目で睨み落とす。
彼女の肩がビクッと震えた。


「今回の件は、上司として看過できない事案だ。始末書を書いて俺まで提出するように」

「……わかったわよっ。出せばいいんでしょ。今日は目眩がするので早退します!」

姫原さんはものすごい剣幕でそう言うと、会議室から逃げ出すように出ていった。
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