金髪悪魔の正体
「褒めてんのそれ」


とは言いつつも、声はどこか嬉しそうだ


「はい!めちゃくちゃ弾いてるのにヘドバン激しくて、乱れた金髪が綺麗で、人間じゃなくて悪魔みたい」

「リヴァイアサンだから間違ってないかもね」


いつのまにか工具を手に持ってサックスを解体している

その後も、私が現役大学生で経済学部に通っていることや、将来はこのままマネージャーを続けるか、他の職業の就職活動にも挑戦してみようか、ぼんやりと悩んでいる話を聞いて、簡単な相槌を打ちながらもテキパキと作業を進めてくれた


よくよく考えると初対面で失礼なお願いをしてくる人の身の上話を聞いてくれるなんて、悪魔な見た目とは裏腹に相当心が広い人なのかもしれない


ベースもうまいし、サックスも直せるし、かっこいいし・・・


「伊倉さんは一体何者なんですか?ただのバンドマンなんですか?」


思わず零れ出た問いを受け、彼は肩までつく長い金髪を耳に掛けながら微笑む


「ううん。バンドはやってなくて基本は作曲。楽器はただの趣味」



うわぁ・・・

よく見ると本当にかっこいいな


しかも作曲までできちゃうんだ



「最後に試奏するから、自分のサックス持ってくる」


しばらくすると、他の部屋から持ってきたサックスケースからマウスピースを取り外し、リペア後のサックスに付け替えたところで、何かをゴソゴソと探し出した


「あれリード…」

「どうかしましたか?」


彼が自分のサックスケースのなかでガサガサと触っているのは、散乱した大量のケース入りのリードだ
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