毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 赤い瞳の魔力に吸い寄せられるようにしてベッドに近付けば、すぐに片腕を掴まれて強引に引き寄せられる。
 バランスを崩してゼンティの正面に倒れこむと、すかさず口に封をされてしまう。

「んっ……ふ……」

 昼間と同じ感覚。ゼンティに口内を荒らされて、唾液と体内の毒素を吸い上げられていく。
 抵抗しても無駄だから、せめて現実から目を逸らそうとして目を閉じるが、余計に水音と吐息と唇の熱を感じてしまう。

 この行為に依存性でもあるのか、リィラの身体は二度目にして彼の吸引に嫌悪を感じなくなった。

「……ごちそうさま。美味しかったよ。リィラちゃんの味は最高だね」

 いつ唇が離されたのか気付かなかったくらいに、リィラもゼンティの味に夢中になっていた。その事に気付いて頬を赤らめた時には、もう遅い。
 ゼンティは自身の唇を指先で軽く拭うと、リィラの体を背中からベッドに押し倒した。彼の力が強いのではない。毒を奪われた直後のリィラは体に力が入らない。

「さ、ここからが本番。この体に慣れてないけど、なるべく優しくするからね」

 優しく微笑みながら、ゼンティは野生的な赤の瞳でリィラの体すらも捕食しようとしている。

 ……センティの命を奪われて、自由を奪われて、毒を奪われて。なぜ、憎い魔物に純潔まで奪われるのだろうか。

 今日は一度に多くの事が起こりすぎて頭の整理なんてできない。なのに、ゼンティの魔力に支配されたのか嫌悪感だけはない。

 戸惑いと恐怖で毒の涙を流せば、それは格好の餌食となってゼンティの舌で舐め取られる。

「あぁ、美味しい。リィラちゃんの体はもっと美味しいだろうね」

 花の蜜を吸うように、甘く激しく味わいながら。
 今宵、獣魔王ゼンティは、リィラという純潔の花を貪るようにして食らい尽くす。
< 23 / 45 >

この作品をシェア

pagetop