毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
リィラの頬を伝う紫の涙を見てセンティも辛そうに唇を噛み締めたが、すぐに優しい笑顔を作った。
「恨んでなんかいないよ。だから今後はゼンティを僕だと思って愛してほしい」
「……え? 何言ってるの、そんなの無理! ゼンティはセンティとは違う! あんな魔物を愛せるわけが……」
「よく聞いて。僕も彼の記憶を少し覗いたけど、本当の目的はたぶん僕と同じだ」
「目的って何……? そんな理由で……」
納得がいかないリィラは顔だけを横に振ると、白いシーツの上で乱れ絡まっている自分の長い紫の髪が目に映る。あの魔物のせいだ。
センティは悲しそうにブルーの瞳を細めた。
「ごめん、時間がない。彼が目覚める。お願いだ、リィラちゃん。妹を頼んだよ……」
最後は消え入るような小さな声になり、センティの瞳の青の中に赤色が侵食し始める。紫色に移り変わると、やがて血のように赤い魔物の瞳となった。
目の色だけで分かる。王子センティから魔物のゼンティへと人格が変わった。
「ふわぁ~リィラちゃん、おはよう。ふふ、気持ちのいい朝だね」
あくびをしてから天使のように微笑む魔物のゼンティは、赤い瞳を除けばセンティの人格と見分けがつかない。
かと思うとリィラの側に寄ってきて、有無を言わせずに唇を重ねてきた。
「ちょっ……! ゼンティ!」
リィラが毛布の中でゼンティの体を両手で押し返す。初めてゼンティに抵抗したかもしれない。朝から毒を吸われたら本気で動けなくなる。
ゼンティは、やはり子供のように頬を膨らませている。
「ケチだなぁ。朝の一服くらい、いいじゃん」
嗜好品だからってタバコみたいに言わないでほしい。朝から吸いたくなるほどに依存性があるなんて、本当に人毒は魔物の体に悪くないのだろうか。
しかしこの様子だと、王子センティの人格が出ていた事には気付いていない。
(センティの言ってた『妹を頼んだよ』って……ヒメちゃん?)
いや、子犬のようなヒメは魔物の方のゼンティの妹だ。という事は、王子センティにも妹がいるのかもしれない。
「恨んでなんかいないよ。だから今後はゼンティを僕だと思って愛してほしい」
「……え? 何言ってるの、そんなの無理! ゼンティはセンティとは違う! あんな魔物を愛せるわけが……」
「よく聞いて。僕も彼の記憶を少し覗いたけど、本当の目的はたぶん僕と同じだ」
「目的って何……? そんな理由で……」
納得がいかないリィラは顔だけを横に振ると、白いシーツの上で乱れ絡まっている自分の長い紫の髪が目に映る。あの魔物のせいだ。
センティは悲しそうにブルーの瞳を細めた。
「ごめん、時間がない。彼が目覚める。お願いだ、リィラちゃん。妹を頼んだよ……」
最後は消え入るような小さな声になり、センティの瞳の青の中に赤色が侵食し始める。紫色に移り変わると、やがて血のように赤い魔物の瞳となった。
目の色だけで分かる。王子センティから魔物のゼンティへと人格が変わった。
「ふわぁ~リィラちゃん、おはよう。ふふ、気持ちのいい朝だね」
あくびをしてから天使のように微笑む魔物のゼンティは、赤い瞳を除けばセンティの人格と見分けがつかない。
かと思うとリィラの側に寄ってきて、有無を言わせずに唇を重ねてきた。
「ちょっ……! ゼンティ!」
リィラが毛布の中でゼンティの体を両手で押し返す。初めてゼンティに抵抗したかもしれない。朝から毒を吸われたら本気で動けなくなる。
ゼンティは、やはり子供のように頬を膨らませている。
「ケチだなぁ。朝の一服くらい、いいじゃん」
嗜好品だからってタバコみたいに言わないでほしい。朝から吸いたくなるほどに依存性があるなんて、本当に人毒は魔物の体に悪くないのだろうか。
しかしこの様子だと、王子センティの人格が出ていた事には気付いていない。
(センティの言ってた『妹を頼んだよ』って……ヒメちゃん?)
いや、子犬のようなヒメは魔物の方のゼンティの妹だ。という事は、王子センティにも妹がいるのかもしれない。