毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
それから数日後、リィラとゼンティは馬車に乗って毒の里・ポワゾンへと向かう。
一頭立ての箱型馬車を御するのはアレンで、一人で何でもできる万能な近衛兵に驚くしかない。
馬車を引く黒い毛並みの馬は魔物の一種だと知って、それにも驚いた。
「ねぇ、今までポワゾンの住民が獣魔に襲われなかったのは、なんで?」
車内でリィラは隣に座るゼンティに問いかけた。
ゼンティが同行したのは常にリィラの側にいないと毒が吸えないためである。
「本能だね。獣魔は毒の種族を捕食しないからだよ」
「毒が好物なのに?」
「短命の種族の体を得ても意味ないでしょ。でもリィラちゃんは僕が毒を吸うから長生きするよ」
自分は魔物に延命してもらっていると思うと素直に感謝すべきなのか複雑であった。
ゼンティからは笑顔が消えて、どこか遠くを見つめながら独り言のようにつぶやく。
「それと単純に獣魔の個体数が少ない。今では絶滅危惧種だよ……人間のせいでね」
そう言い終えたタイミングで馬車が止まった。ポワゾンに一番近い森の手前で馬車から降りて、ここからは徒歩で進む。
森の中に道がなくてもリィラには故郷の場所が分かる。里の周辺は木々の位置や形まで全て覚えている。
ポワゾンの近くまで来ると、リィラの足が自然と速くなる。しかし、森を抜けた先にあった里の光景を見た瞬間に足が止まった。
「……え? どうして……?」
里に広がっていた毒の花畑の花は全て焼かれて炭のような残骸しか残っていない。全ての木々も伐採されて焼かれた形跡がある。
毒の花の甘い香りに包まれていた里は焼き尽くされて、今は焦げ臭い匂いと灰だけが風に舞いながら漂っている。
一頭立ての箱型馬車を御するのはアレンで、一人で何でもできる万能な近衛兵に驚くしかない。
馬車を引く黒い毛並みの馬は魔物の一種だと知って、それにも驚いた。
「ねぇ、今までポワゾンの住民が獣魔に襲われなかったのは、なんで?」
車内でリィラは隣に座るゼンティに問いかけた。
ゼンティが同行したのは常にリィラの側にいないと毒が吸えないためである。
「本能だね。獣魔は毒の種族を捕食しないからだよ」
「毒が好物なのに?」
「短命の種族の体を得ても意味ないでしょ。でもリィラちゃんは僕が毒を吸うから長生きするよ」
自分は魔物に延命してもらっていると思うと素直に感謝すべきなのか複雑であった。
ゼンティからは笑顔が消えて、どこか遠くを見つめながら独り言のようにつぶやく。
「それと単純に獣魔の個体数が少ない。今では絶滅危惧種だよ……人間のせいでね」
そう言い終えたタイミングで馬車が止まった。ポワゾンに一番近い森の手前で馬車から降りて、ここからは徒歩で進む。
森の中に道がなくてもリィラには故郷の場所が分かる。里の周辺は木々の位置や形まで全て覚えている。
ポワゾンの近くまで来ると、リィラの足が自然と速くなる。しかし、森を抜けた先にあった里の光景を見た瞬間に足が止まった。
「……え? どうして……?」
里に広がっていた毒の花畑の花は全て焼かれて炭のような残骸しか残っていない。全ての木々も伐採されて焼かれた形跡がある。
毒の花の甘い香りに包まれていた里は焼き尽くされて、今は焦げ臭い匂いと灰だけが風に舞いながら漂っている。