毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
リィラの後ろから遅れて歩いてきたゼンティとアレンも、この惨状と異臭に顔をしかめる。
「……これは人間の仕業だね」
ゼンティはあえて人間への憎悪を言葉に込めて強く放つ。自然災害ではない事は一目瞭然だった。
かつてリィラが住んでいた小屋も跡形もない。それだけではなく、リィラがもっとも衝撃を受けたのは墓地だ。
「……ひどい……」
リィラは墓地の前で呆然と立ち尽くす。全ての墓が掘り返されて、乱暴にかき出された土が散乱している。
今は亡きリィラの両親も、里の住民も……かつての命の名残すらも全てが失われていた。
肩を震わせるリィラの後方で、ゼンティに向かってアレンが耳打ちをする。
「……あの者の仕業ですね」
「あぁ、そうだろうね」
ゼンティはそれだけ言うと、リィラに歩み寄ってその小さな肩を抱き寄せる。リィラは紫の涙を頬に流しながら嗚咽を漏らす。
「ゼンティ、ねぇ……私たちが、何をしたって、いうの……なんで、こんな……」
リィラはゼンティの胸に顔を埋めて、抱きつくようにして泣き続ける。リィラを抱くゼンティの腕は、柔らかく大事なものを包み込むように優しい。
「リィラちゃんは悪くないよ。悪いのは人間だ」
それを言うならリィラも人間なので、慰めの言葉としては相応しくない。
しかしゼンティの言葉の意図は全く別で、リィラを醜い人間と同類とは見てはいない。
「安心して。僕がリィラちゃんの分も復讐するから」
「復讐……?」
「当然だよ。リィラちゃんは僕の大切な妻だ」
涙でぼやけた視界に霞んで映るゼンティの銀色の髪と赤の瞳が、今は眩しくて目を見張るほどに美しい。
今はゼンティも魔物も憎くない。毒を好む魔物よりも、毒を忌み嫌う人間が憎い。一人で里で生きてきたリィラは人間よりも魔物に近いのかもしれない。
「……これは人間の仕業だね」
ゼンティはあえて人間への憎悪を言葉に込めて強く放つ。自然災害ではない事は一目瞭然だった。
かつてリィラが住んでいた小屋も跡形もない。それだけではなく、リィラがもっとも衝撃を受けたのは墓地だ。
「……ひどい……」
リィラは墓地の前で呆然と立ち尽くす。全ての墓が掘り返されて、乱暴にかき出された土が散乱している。
今は亡きリィラの両親も、里の住民も……かつての命の名残すらも全てが失われていた。
肩を震わせるリィラの後方で、ゼンティに向かってアレンが耳打ちをする。
「……あの者の仕業ですね」
「あぁ、そうだろうね」
ゼンティはそれだけ言うと、リィラに歩み寄ってその小さな肩を抱き寄せる。リィラは紫の涙を頬に流しながら嗚咽を漏らす。
「ゼンティ、ねぇ……私たちが、何をしたって、いうの……なんで、こんな……」
リィラはゼンティの胸に顔を埋めて、抱きつくようにして泣き続ける。リィラを抱くゼンティの腕は、柔らかく大事なものを包み込むように優しい。
「リィラちゃんは悪くないよ。悪いのは人間だ」
それを言うならリィラも人間なので、慰めの言葉としては相応しくない。
しかしゼンティの言葉の意図は全く別で、リィラを醜い人間と同類とは見てはいない。
「安心して。僕がリィラちゃんの分も復讐するから」
「復讐……?」
「当然だよ。リィラちゃんは僕の大切な妻だ」
涙でぼやけた視界に霞んで映るゼンティの銀色の髪と赤の瞳が、今は眩しくて目を見張るほどに美しい。
今はゼンティも魔物も憎くない。毒を好む魔物よりも、毒を忌み嫌う人間が憎い。一人で里で生きてきたリィラは人間よりも魔物に近いのかもしれない。