毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
ゼンティはリィラの頬に舌を這わせて毒の涙を舐めとる。それは毒を味わう行為ではなく、リィラの涙を優しく拭き取るだけの行為。
「……悲しみの毒は美味しくないね」
ゼンティはリィラの涙の味を汚した人間が許せない。それは建前で、純粋にリィラの故郷を破壊した行為そのものが許せない。
そしてゼンティは、この行為を起こした者と意図を知っている。
三人はポワゾンを後にして、来た道を帰る。その途中もゼンティは泣きじゃくるリィラの肩を抱いて歩いていた。
森の外に停めておいた馬車の前まで来ると、前方の道の端に別の馬車が停まっているのが見えた。
ゼンティは先にリィラだけを馬車のキャビンに乗せる。
「ごめん、リィラちゃん。少しだけ待ってて。すぐ戻るからね」
未だ顔を伏せて泣き続けているリィラを馬車に残して、ゼンティはアレンと二人で前方の馬車へと向かう。
近付いてみると、その馬車の装飾に見覚えのある薔薇の紋章を見付けた。
「……ふぅん。アディール王国の紋章。やっぱりね」
ゼンティがそう呟くと、馬車から軽装の兵が降りてきた。甲冑の胸には馬車と同じアディール王国の薔薇の紋章が刻まれていた。
若い兵士の男性はゼンティの姿を見るなり驚きに目を見開いた。それはゼンティの後方に控えているアレンに対してだった。
「アレン隊長!? 生きておられたのですか!?」
この反応は当然だった。近衛隊長・アレンは過去に魔物に食い殺された事になっている。
この兵の反応からして、センティが死んだ事実はアディール王国で公表されていないと分かる。
「……悲しみの毒は美味しくないね」
ゼンティはリィラの涙の味を汚した人間が許せない。それは建前で、純粋にリィラの故郷を破壊した行為そのものが許せない。
そしてゼンティは、この行為を起こした者と意図を知っている。
三人はポワゾンを後にして、来た道を帰る。その途中もゼンティは泣きじゃくるリィラの肩を抱いて歩いていた。
森の外に停めておいた馬車の前まで来ると、前方の道の端に別の馬車が停まっているのが見えた。
ゼンティは先にリィラだけを馬車のキャビンに乗せる。
「ごめん、リィラちゃん。少しだけ待ってて。すぐ戻るからね」
未だ顔を伏せて泣き続けているリィラを馬車に残して、ゼンティはアレンと二人で前方の馬車へと向かう。
近付いてみると、その馬車の装飾に見覚えのある薔薇の紋章を見付けた。
「……ふぅん。アディール王国の紋章。やっぱりね」
ゼンティがそう呟くと、馬車から軽装の兵が降りてきた。甲冑の胸には馬車と同じアディール王国の薔薇の紋章が刻まれていた。
若い兵士の男性はゼンティの姿を見るなり驚きに目を見開いた。それはゼンティの後方に控えているアレンに対してだった。
「アレン隊長!? 生きておられたのですか!?」
この反応は当然だった。近衛隊長・アレンは過去に魔物に食い殺された事になっている。
この兵の反応からして、センティが死んだ事実はアディール王国で公表されていないと分かる。