毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
ゼンティはセンティのふりをして天使のように微笑むと、まずは兵から話を聞き出す。
「それよりも、ポワゾンはどうなっているのかな?」
「は……! センティ様のご命令通り、ポワゾンの草木の伐採・焼却・消毒は完了しました!」
「僕の命令、ねぇ……」
ゼンティの口元が僅かに歪んだ。センティの死を隠しながら、裏で王子の権限を利用している者がいる。
……まるで王子の死が好都合であるかのように。そんな事ができる人物は一人しかいない。
目星はついた。もうこの兵からは話を聞き出す価値もない。
「アレン!」
ゼンティが振り向かずに後方のアレンの名を呼ぶと、それを合図にアレンが瞬時に動いた。
アレンは助走もつけずに目にも留まらぬ速さで駆け出すと、兵の目の前に迫る。
アレンは片手を大きく広げると兵の口を塞ぐように鷲掴みにした。
「ぐっ……!?」
兵は声を出せずに口呼吸もできない。人とは思えない握力と怪力で顔を上向きにされる。
ゼンティが兵に近付くと、その無防備な首筋に牙を立てて噛み付いた。それは吸血鬼のように血を吸う行為に見えるが、実は逆。
普段から毒を吸っているゼンティの体内には毒素が巡っている。自分の唾液に含まれる毒を注入する事で人間を毒に侵す。
ほんの一瞬で兵は意識を失ってその場に倒れた。ゼンティは口元を手の甲で拭いながら冷たく見下ろす。
「……アレン、こいつ捨ててきて。捕食用の餌にはなるでしょ」
「承知しました」
毒の量を調節したので殺してはいない。意識と全身の機能が失われる程度の毒に侵した。
アレンは軽々と兵を肩に担ぎ上げると、道から外れて森の中に入る。数歩進んだところで、乱暴に捨てるようにして兵を地面に放り投げる。
すぐに毒と人間の匂いに引き寄せられた黒い犬型の獣魔が寄ってきた。獣魔は体を得るために、生きた人間を捕食する。
「体を得たらベスティアに来い。歓迎する」
獣魔に向かって静かに告げると、アレンは背中を向けて来た道を歩いて戻る。
アレンが去った後の森の中では、獣魔が生きた人間に食らいつき捕食する生々しい咀嚼音だけが響いていた。
アレンが元の場所へと戻ると、ゼンティは獲物を狙うような目でアディール国の馬車に視線を向けた。
「中にいるヤツらも全員やるよ」
「は。仰せのままに」
「それよりも、ポワゾンはどうなっているのかな?」
「は……! センティ様のご命令通り、ポワゾンの草木の伐採・焼却・消毒は完了しました!」
「僕の命令、ねぇ……」
ゼンティの口元が僅かに歪んだ。センティの死を隠しながら、裏で王子の権限を利用している者がいる。
……まるで王子の死が好都合であるかのように。そんな事ができる人物は一人しかいない。
目星はついた。もうこの兵からは話を聞き出す価値もない。
「アレン!」
ゼンティが振り向かずに後方のアレンの名を呼ぶと、それを合図にアレンが瞬時に動いた。
アレンは助走もつけずに目にも留まらぬ速さで駆け出すと、兵の目の前に迫る。
アレンは片手を大きく広げると兵の口を塞ぐように鷲掴みにした。
「ぐっ……!?」
兵は声を出せずに口呼吸もできない。人とは思えない握力と怪力で顔を上向きにされる。
ゼンティが兵に近付くと、その無防備な首筋に牙を立てて噛み付いた。それは吸血鬼のように血を吸う行為に見えるが、実は逆。
普段から毒を吸っているゼンティの体内には毒素が巡っている。自分の唾液に含まれる毒を注入する事で人間を毒に侵す。
ほんの一瞬で兵は意識を失ってその場に倒れた。ゼンティは口元を手の甲で拭いながら冷たく見下ろす。
「……アレン、こいつ捨ててきて。捕食用の餌にはなるでしょ」
「承知しました」
毒の量を調節したので殺してはいない。意識と全身の機能が失われる程度の毒に侵した。
アレンは軽々と兵を肩に担ぎ上げると、道から外れて森の中に入る。数歩進んだところで、乱暴に捨てるようにして兵を地面に放り投げる。
すぐに毒と人間の匂いに引き寄せられた黒い犬型の獣魔が寄ってきた。獣魔は体を得るために、生きた人間を捕食する。
「体を得たらベスティアに来い。歓迎する」
獣魔に向かって静かに告げると、アレンは背中を向けて来た道を歩いて戻る。
アレンが去った後の森の中では、獣魔が生きた人間に食らいつき捕食する生々しい咀嚼音だけが響いていた。
アレンが元の場所へと戻ると、ゼンティは獲物を狙うような目でアディール国の馬車に視線を向けた。
「中にいるヤツらも全員やるよ」
「は。仰せのままに」