毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~

第6話 アディール王国へと

 今朝も同じ毛布の中で添い寝をしていたリィラとゼンティは同時に目を覚ます。

「リィラちゃん、おはよ……いただきまぁす」

 寝たままの体勢でリィラはゼンティに口付けられて軽く毒を吸われる。朝の一服が終わると、ようやく二人は起き上がる。

「リィラちゃん、今日はこのドレス着て!」

 ゼンティはクローゼットから黒いドレスを取り出すとリィラの方に広げてみせる。
 リィラはゼンティと同室なので、クローゼットの中には二人の服が収納されている。
 この時、リィラは裸である。いつも就寝前には衣類を全てゼンティに剥がされてしまうので、朝は服を着るだけ。

「このドレス、いつもより豪華ね。今日は何かあるの?」

 手渡されたドレスを着たリィラは、フリルが重なった黒薔薇を思わせるスカートを摘んでゼンティに見せる。
 ゼンティはリィラを着せ替え人形のようにして、毎日違う色のドレスを着せて楽しんでいる。

「ふふ、綺麗だよ。リィラちゃんの紫の髪には黒もバッチリ似合うね」
「だから、ゼンティ……」
「ん? あぁ、今日は僕の両親に会ってもらうよ」
「両親?」

 ゼンティの両親という事は、ベスティア王国の先代の王と王妃。ゼンティは人の体を得たその日に王位を継いだ。
 今は城下町に隠居しているゼンティの両親が今日、この城に来るという。

 リィラは急に緊張してきた。人の姿をしていても、この国の者の正体は魔物。ゼンティの元の性格だって荒々しい。

「私も会わなきゃダメなの……?」
「両親に結婚の報告をするのは当然でしょ」

 結婚式も挙げていないので、リィラは未だにゼンティが夫であるという実感がなかった。

 ゼンティも黒の貴族服をしっかりと着て王子様スタイルになると、リィラと一緒に寝室を出た。
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