毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
謁見の間を出た二人はゼンティの部屋へと戻った。
部屋を真っ直ぐに進んだ奥にある、横長の大きな黒いソファにゼンティは腰掛ける。思えば、初めて会った時も彼はこのソファに座っていた。
だが今は立場が違う。ゼンティが少し端に座ったので、リィラはその隣に座る。
「ねえ、ゼンティはどこへ行くの?」
リィラが隣のゼンティに顔だけを向けて問いかけると、ゼンティも目を合わせてきた。今ではもう魔物の赤い瞳は怖くない。
「アディール王国だよ。せっかく王子の体を手に入れたからね」
「え? アディール王国って……?」
アディール王国では、王子センティが死んだ事実は公表されていない。そして実際、今こうして魔物に体を奪われて生きている。
以前、ゼンティが言っていた『復讐』という言葉を思い出したリィラは嫌な予感がした。
「ゼンティ、私にちゃんと話して。私はあなたの妻だから」
リィラは真っ直ぐな紫の瞳をゼンティに返した。今では完全な『餌』扱いはされていない事はリィラも分かっている。
ゼンティに愛があるのかは分からない。それでも毒を吸われる時も、夜の激しい行為の中にも『優しさ』を感じ始めていた。
……かと思うと、ゼンティは微笑しながら眉を少し下げて困った顔をした。こんな表情は初めて見る。
「僕はアディール王国に復讐しに行くよ」
「復讐って……何があったの?」
「全部は話せない。まず僕がアディール王国を支配する。なるべく人は殺さないよ」
つまりゼンティはセンティ王子になりすまして、アディール国の王位に就くつもりなのだ。そんな事が可能なのだろうか。
部屋を真っ直ぐに進んだ奥にある、横長の大きな黒いソファにゼンティは腰掛ける。思えば、初めて会った時も彼はこのソファに座っていた。
だが今は立場が違う。ゼンティが少し端に座ったので、リィラはその隣に座る。
「ねえ、ゼンティはどこへ行くの?」
リィラが隣のゼンティに顔だけを向けて問いかけると、ゼンティも目を合わせてきた。今ではもう魔物の赤い瞳は怖くない。
「アディール王国だよ。せっかく王子の体を手に入れたからね」
「え? アディール王国って……?」
アディール王国では、王子センティが死んだ事実は公表されていない。そして実際、今こうして魔物に体を奪われて生きている。
以前、ゼンティが言っていた『復讐』という言葉を思い出したリィラは嫌な予感がした。
「ゼンティ、私にちゃんと話して。私はあなたの妻だから」
リィラは真っ直ぐな紫の瞳をゼンティに返した。今では完全な『餌』扱いはされていない事はリィラも分かっている。
ゼンティに愛があるのかは分からない。それでも毒を吸われる時も、夜の激しい行為の中にも『優しさ』を感じ始めていた。
……かと思うと、ゼンティは微笑しながら眉を少し下げて困った顔をした。こんな表情は初めて見る。
「僕はアディール王国に復讐しに行くよ」
「復讐って……何があったの?」
「全部は話せない。まず僕がアディール王国を支配する。なるべく人は殺さないよ」
つまりゼンティはセンティ王子になりすまして、アディール国の王位に就くつもりなのだ。そんな事が可能なのだろうか。