毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 かと思うと、レンティはふわりと柔らかい笑顔で微笑んだ。

「私、毒や毒花に興味があって、研究もしてますのよ」

 なぜ、わざわざそれを伝えるのだろうか。もしかしたらリィラが毒の種族だと気付いているのかもしれない。
 いや、そうだとしたら、毒を持つ者と一緒にお茶をしようとは思わないだろう。
 毒の種族だと勘付かれるのを恐れたリィラは話を変える。

「あの、私、王様と王妃様にもご挨拶したいのですが……今どちらに?」

 リィラはセンティの結婚相手なのだから当然、両親にも会うべきだろう。そんな普通の感覚で言っただけだった。
 だがレンティは言い辛そうにして表情を曇らせた。

「両親は亡くなりましたわ。今は実質センティお兄様がアディール国の王権を持っていますわ」
「え!? そう……なんですか!?」
「あら。お兄様ったら、結婚相手に何もお話していませんの?」

 センティは王子ではなく王だった。しかし実質という事は正式に王位に就いてはいない。
 しかし本物のセンティは魔物のゼンティに食われて死んでいる。本当ならレンティが女王として王位を継ぐのだろう。
 だがレンティはまだ17歳。アディール国で王位を継げる年齢は、成人する18歳からだった。

(もしかしてゼンティ、このタイミングで……?)

 センティ王子は20歳。そしてリィラを妃として迎える。ゼンティはこのタイミングで王位と王妃の両方を手に入れようとしている。
 そして、さらにレンティの命までも……。全ては時期を狙って実行しているように思える。

 そんな憶測を立てていると、メイドが部屋に入ってきてテーブルの上にショートケーキが乗った皿を置いた。同時にナイフとフォークも。

「どうぞお召し上がりになって。甘いものはお好きかしら」
「はい、いただきます」

 ケーキを食べるならフォークだけでもいいのに、ナイフも使うとは、王族は格が違うとリィラは再び緊張する。
 しかも今はまだ午前中で、ケーキを食べる時間には相応しくない気もするが、王女の振る舞いを拒む事なんてできない。
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