毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
リィラは右手でナイフを持つ。ナイフの背に人差し指を添えようとした瞬間に走った痛みに顔を歪めた。
「痛っ……!」
瞬時にリィラはナイフをテーブルに落としてしまった。よく見ると、そのナイフは両刃だった。ケーキ用のナイフで両刃はありえない。
リィラの右手の人差し指の切り傷から血が滲んでくるが、慌ててそれを左手で包んで隠す。リィラの血は毒の紫色だからだ。
「あら、大丈夫ですの? 傷口をお見せくださいませ」
全く動じずにレンティはリィラの傷を確認しようとする。このナイフでリィラを傷付けたのは意図的だと分かる。
毒の種族だと知られれば確実に忌み嫌われ迫害を受ける。リィラは指を隠しながら身を引いて椅子ごと後ろへ下がる。
その時、ふとレンティの席の後方に立つアレンと目が合った。アレンは顎を前方に動かしてリィラに何かを伝えている。
(アレンさん、ありがとう)
リィラは席を立つと、そのまま急ぎ足で部屋を出て行った。
レンティは無表情のまま席を立ち、ゆっくりと歩き出そうとするが……その身体を背後からアレンが抱きしめた。
それはレンティを引き止める目的の行為ではなく、愛しく包み込むような抱擁だった。
「……レンティ様。どうやらリィラ様はご体調が優れないようです」
「それは悪い事をしましたわね」
レンティが素直に謝るとアレンの腕から解放された。レンティはアレンの方を向いて彼のブラウンの瞳を見上げる。
「痛っ……!」
瞬時にリィラはナイフをテーブルに落としてしまった。よく見ると、そのナイフは両刃だった。ケーキ用のナイフで両刃はありえない。
リィラの右手の人差し指の切り傷から血が滲んでくるが、慌ててそれを左手で包んで隠す。リィラの血は毒の紫色だからだ。
「あら、大丈夫ですの? 傷口をお見せくださいませ」
全く動じずにレンティはリィラの傷を確認しようとする。このナイフでリィラを傷付けたのは意図的だと分かる。
毒の種族だと知られれば確実に忌み嫌われ迫害を受ける。リィラは指を隠しながら身を引いて椅子ごと後ろへ下がる。
その時、ふとレンティの席の後方に立つアレンと目が合った。アレンは顎を前方に動かしてリィラに何かを伝えている。
(アレンさん、ありがとう)
リィラは席を立つと、そのまま急ぎ足で部屋を出て行った。
レンティは無表情のまま席を立ち、ゆっくりと歩き出そうとするが……その身体を背後からアレンが抱きしめた。
それはレンティを引き止める目的の行為ではなく、愛しく包み込むような抱擁だった。
「……レンティ様。どうやらリィラ様はご体調が優れないようです」
「それは悪い事をしましたわね」
レンティが素直に謝るとアレンの腕から解放された。レンティはアレンの方を向いて彼のブラウンの瞳を見上げる。