毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 これはゼンティの核心を聞き出すチャンスかもしれないので、リィラは慎重に質問を選ぶ。

「ゼンティの『復讐』って何?」

 これは紛れもなくリィラが一番知りたい、ゼンティの真意であった。
 するとゼンティは一瞬だけ赤の瞳を大きくした後、真面目な顔になってそっとリィラから顔を離した。

「分かった。話す前に見てほしい場所があるんだ。今から三人で行こう」

 リィラの返事を待つ事なく、ゼンティは部屋の隅に控えていたアレンに視線を向ける。アレンは無言で頭を下げて同意を示す。
 アレンはレンティの執事のはずだが、基本的にはゼンティの側にいる。やはりゼンティの下僕が真の姿だ。
 そして、ゼンティとリィラの口付けも見慣れているので何とも思わない。



 そうして三人が馬車で城を出発する準備を始めた頃、レンティは自室のテーブルで一人で紅茶を飲んでいた。

 ノックの後にレンティの部屋に入ってきた兵の男がテーブルの前に立ち、レンティに報告をする。

「センティ様が馬車でお出かけになるようです」
「……そう」

 レンティはティーカップをソーサーに置くと、長い睫毛を伏せて唇の端を上げた。

「では、兵団に連絡をお願いしますわ」

 それだけを伝えると、レンティは再びティーカップを口元へと運ぶ。
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