毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~

第10話 レンティの復讐

 ゼンティとリィラとアレンの一行は、馬車から降りると徒歩で森の中へと入る。

 ここはアディール王国の城下町からは離れた場所で、リィラの故郷である毒の里・ポワゾンに近い。
 リィラにとっては、この周辺の森の中は馴染みがある風景で迷う事もない。

「ねぇ、ゼンティが見せたい場所って、この先にある小山?」
「うん、そうだよ」

 森の中に開けた場所があって、そこには大きな土の山がある。人工的に作られたのかは定かではないが、リィラが幼い頃からあった気がする。

 その場所に着いて改めてその山を見上げる。高さはそれほどでもないが、横幅は貴族の豪邸くらいはある。
 なんとなく触れてはいけない気がして、リィラはその山を見る事はあっても近付いた事はなかった。

「リィラちゃんは、この山が何か知ってる?」
「知らないけど、なんか……ずっと不思議な感じがしてた」
「そうだろうね。これは墓地なんだよ」
「……え?」

 リィラが驚いてゼンティの方に顔を向けると、ゼンティは山に一歩近付いてその茶色の土に手で触れる。
 その瞳は憂いを帯びて悲しげに揺れていて、ゼンティのこんな表情は初めて見る。

「もう何十年も前。人間による魔物の大量虐殺があった」
「虐殺……!?」

 という事は、この山は殺された魔物が埋葬された墓地。山の大きさからして、どれだけの数の魔物が死に至ったか……想像を絶する。
 ゼンティは山を見上げて昔話のように語り続ける。

「それはアディール王国が仕組んだ毒殺だったよ。森を切り開いて領地を広げるには、人間を捕食する魔物は脅威だからね」
「でも獣魔は毒が好物なんじゃ……?」
「うん、自然の毒ならね。だから人間は、獣魔にも有毒な毒を開発した」

 ここまで聞いて、リィラは嫌な予感がして恐怖に震えてくる。

 アディール国での毒の開発、毒の里ポワゾンの消滅、ゼンティの復讐。毒に関わるこれらの件は、全てが繋がっているように感じる。
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