毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 リィラの視線に気付いたレンティは薄笑いを浮かべながらリィラを追い詰める。

「ポワゾンにはもう毒の種族はおりませんでしたので、骨から毒を製造する方法を研究中ですわ」
「ポワゾン……骨……!?」

 リィラの震える口では、もう言葉を発する事さえ困難になっていた。それでもリィラは真実を確かめなくてはならない。

「レンティさんが、ポワゾンを……?」
「えぇ。あの里はすでに滅んで生存者はおりませんし、骨を回収した後は焼き払って消毒させましたわ」

(ちがう……私が、私がいたのに……)

 リィラは、毒の里・ポワゾンのたった一人の住民。そして毒の種族の最後の生き残りでもある。
 しかしリィラはゼンティによってベスティア王国に連れて行かれた後なので、里には誰もいなくなってしまった。

 レンティは毒の原材料を得るために、ポワゾンの墓地を掘り返して遺骨を持ち帰った。さらにポワゾンを焼き払って消滅させた。

 今、この場所に置かれている白い粉の正体……それはポワゾンの民の遺骨を粉砕して粉末状にしたものだった。

「なんで、そんな、ひどい……」
「有毒なまま放置したら領地にもできなくて利用価値がありませんもの。有毒な地を有益にしてさしあげましたのよ」

 リィラは悲しみと憎しみが混じった感情が今にも弾け飛びそうで、それを必死に抑えるだけで精一杯だった。

 ……しかし、どんなに悲しくても憎くても、今は泣いてはいけない。泣けば紫色の涙で、毒の種族だとバレてしまう。

 なぜ自分は、こんな非道な王女を守ろうとしたのだろうか。憎しみを叫びたいし、今すぐに殺してやりたいとさえ思う。

 今なら、ゼンティの言う『復讐』が理解できる。こんなにも人を憎いと思った事などない。

 しかし、この場所にリィラを連れてきた本当の目的。それを考えた時に、もう逃げ道を塞がれている事にも気付いた。
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