毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 そしてゼンティが話さずにいるレンティの闇の全貌は、こんなものではない。リィラは今もまだ『復讐』の全てを知らない。

「もうすぐリィラちゃんの分まで復讐を果たすからね」

 ゼンティの復讐の裏にある優しさに気付いたリィラは、自分はゼンティにもセンティにも守られている事にも気付いた。

(センティはあの日、私を守るためにポワゾンを探していたんだ……)

 センティと出会った、あの日。
 レンティの計画を知ったセンティは先回りをして、毒の里ポワゾンの唯一の生き残りであるリィラを逃して救おうとしていた。
 その過程でセンティがリィラを愛したのも事実。だからこそ、リィラをアディール王国に迎えて自分の側で守ろうとした。

 その全てを一人で実行していたところから、センティ王子には味方がいなかったのだろう。
 だからこそ、両親が死んだ後もセンティは正式に王位を継ぐ事ができなかった。……周りが継がせなかったのだろう。

 いや、センティの事だから、最初からレンティに王位を譲るつもりだったのかもしれない。

(センティも辛かったのね……)

 リィラは、その時のセンティ王子を今のゼンティに重ねて、彼の頬に手を伸ばして触れる。

 魔物とは思えないほどに美しい、偽りのスカイブルーの瞳に呑まれたいと素直に思う。
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