毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 ゼンティはソファの前に立ってヒメの頭を優しく撫でる。今日もぬいぐるみのような黒いフワフワの毛並みで癒される。

「ヒメは17歳だよ」
「……レンティさんと同い年なのね」

 センティの妹のレンティも、ゼンティの妹のヒメも17歳。偶然とは思えない巡り合わせであった。
 そしてレンティもヒメも、もうすぐ18歳の成人になる。

「じゃあ、ヒメちゃんが成人したらお祝いしないとね」
「お祝いといえば、僕たちの結婚式の日は、いくつものお祝い事を兼ねてるよ」

 この時、二人の結婚式の日は間近に迫っていた。その日は同時にレンティがアレンとの結婚と王位の剥奪を計画している日でもある。
 当然ながら、そのレンティの計画はアレンからの報告によって、全てゼンティに伝えられている。

 リィラはレンティの計画を知らないので、純粋に自分とゼンティの結婚式の日としか捉えていない。

「私たちの結婚式と、ゼンティの戴冠式と、他にもお祝い事を兼ねてるの?」
「うん。その日はレンの誕生日だよ」
「え……」
「あはは! そんな顔しない。ついでに祝ってあげようよ」

 宿敵でもあるレンティの誕生日も祝うなんて、なんという余裕だろうか。

 今ではリィラもレンティに対しては憎しみの念を持っている。だからこそ、ゼンティのレンティへの気遣いが不自然にも思えた。
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